
🟢 はじめに
⚠️ 【ネタバレ注意】
この記事は『anemoi』つづらルートの重大なネタバレ(物語の核心に迫る設定など)を含んでいます。
まだクリアしていない方や、これからご自身で「奇跡の結末」を見届けたい方は、是非つづらルートをクリアした後に、またここへ遊びに来てください。
今回は、Keyの最新作『anemoi』に登場する
から深い感動を受け、一人のファンとしてSuno AIで制作した
と、そのアレンジバージョンの制作裏話をお届けします。
のっぺらぼうの氷の世界に感情を閉じ込めていた彼女が、温かい絆に触れ、やがて最高の笑顔を取り戻していく軌跡……。
あの心を揺さぶる情景と感動を「音」で表現したいと思い、
を使って作曲してみました。
完成したアレンジ違いの3つの楽曲たちはこちらです。
🎵 オリジナル版:『閉じ込めた香り』
🌇 ノスタルジー版:『最後の瓶』
🌌 ワルツ版:『星降る夜のワルツ』
この記事では、
というAI作曲の初心者にも分かりやすいように、私が制作過程で試行錯誤しながら見つけたノウハウをお伝えしたいと思います。
🔹情景を音に乗せるための「作詞」の工夫
🔹世界観を決める「楽器」の選び方
などをお伝えしたいと思います。
それでは、
の扉を開けて、楽曲制作の裏側へ出発しましょう☕️
🗺️ 楽曲のコンセプト
Suno AIで作曲を始める時、いきなりAIに
と指示(プロンプト)を出すのは、地図を持たずにダンジョンに飛び込むようなものです。
に振り回されないためには、まず自分の中で
が大切です。
今回の楽曲「閉じ込めた香り」では、
を表現するために、以下のようなテーマとルートを設定しました。
🔑 物語のメインテーマ
🔸手の温もりによる「心の氷」が溶けてゆく
大豆コーヒーや古い本の「匂い」が引き金となって過去の記憶が蘇る様子と、
冷え切った彼女の世界が、
によってゆっくりと溶かされていく過程を、楽曲全体を通して描くことにしました。
🚶♀️ 感情のグラデーション
曲の展開に合わせて、彼女の感情がどう動いていくのかを細かく設定していきます。
🎶 Aメロ(静寂と防壁)
舞台は廃駅舎の静かな喫茶店。
からこそ、
を描きます。
🎶 サビ(温もりという回復魔法)
つづらが過去と向き合う場面で、麦が
という温かい行動に出るシーン。
この温もりによって、心の氷が少しずつ溶け始めます。
🎶 Bメロ〜Cメロ(過去との対峙)
という、
の吐露。
麦自身も過去と向き合い、
最も感情がぶつかり合うポイントです。
🎶 大サビ(最高のカタルシス)
ここが楽曲の最大のハイライトです。
無表情だった彼女の顔に、
といった色鮮やかな「感情」が戻り、
を音で表現します。
🎶 アウトロ(温かい余韻)
数年後、
穏やかな未来。
最後はコーヒーの香りが漂うように、静かにフェードアウトしていきます。
🎸 喫茶店の情景を呼び覚ます「楽器」
コンセプト(地図)が決まったら、次はそれを音にするための楽器選びです。
のと同じように、Suno AIにも
を的確に指示することで、楽曲のクオリティが劇的に変化します。
今回の『閉じ込めた香り』の世界観を表現するために、以下の楽器たちを選びました。
🎹 フェルトピアノ(Felt Piano)〜瓶に閉じ込めた感情〜
曲の出だし(Aメロ・Bメロ)を飾る重要アイテムです。
ピアノの弦にフェルトを挟んで音をこもらせたこの楽器は、
が鳴ります。
この音色が
や
の雰囲気を表現してくれました。
🎸 アコースティックギター(指弾き / Fingerstyle Guitar)〜離さない手の体温〜
を表現するのに欠かせない楽器です。
のではなく、
ことで、
を生み出しています。
🥁 ブラシスネア(Jazz Brushes / Brushed Snare)〜ミルで豆を挽く日常〜
激しいドラムスティックの代わりに、
です。
この擦過音が、
や、
を絶妙に連想させてくれます。
🎷 クラリネット / オーボエ(Clarinet / Oboe)〜古い本とコーヒーの香り〜
空を飛ぶような軽快なフルートではなく、
を選びました。
にぴったり寄り添ってくれます。
🎻 チェロ(Cello)〜隠してきた深い悲しみ〜
人間の声に一番近いと言われる低音楽器です。
を、切なくも温かい音色で代弁してくれます。
この曲のメイン楽器です。
✨ グロッケンシュピール(鉄琴) / オルゴール〜星空と笑顔〜
Cメロ(ブリッジ)や落ちサビ、そして彼女が
にだけ鳴らす楽器です。
や、
を、キラキラした音色で鮮やかに彩ります。
💡 氷が溶けて春が来るような曲の「展開」
前半は静かなフェルトピアノとアコースティックギターで始まり、サビでチェロが泣き、そして大サビでオーケストラのように感情がブワッと溢れ出す……。
このように
ことで、
というコンセプト通りの曲を作ることができました。
🪄 気まぐれなAIを導く「プロンプト」
楽器が決まったら、いよいよSuno AIという気まぐれな吟遊詩人にプロンプトで指示を出していきます。
Suno AIはとても優秀ですが、ただ「切ない曲」とだけ伝えても、どんな風に泣けるのかまでは汲み取ってくれません。
そこで、
をいくつかご紹介します。
💡 感情の波を作る「王道プロンプト」
まずは、
の書き方です。
今回のオリジナル版『閉じ込めた香り』では、
を作るために、こんなプロンプトで指示を出しました。
ただの切ないアコースティックなメロディだけでなく、
と指示することで、
を作ることができます。
💡 テンポ指定で「強がり(防壁)」を表現する
からといって、
のは避けたいところです。
あえて少し軽快な gentle upbeat を指定することで、
を表現しました。
この少し明るいテンポが、後のサビの切なさをより引き立ててくれます。
💡 感動を生み出す「Tear-jerking」
Suno AIに
と強く念押ししたい時に使えるプロンプトがあります。
Tear-jerking(お涙頂戴、泣ける)というタグを入れることで、AIが
を優先して生成してくれやすくなります。
⚠️ アウトロのノイズを防ぐ
Suno AIを使っているとよくある
を防ぐテクニックです。
これからは ずっと いっしょだよ
[End]
[Silence]
現在のSuno AIには、
がありません。
そのため、
ことで、曲を綺麗に終わらせることができます。
🖋️ 言葉を「情景」に変える歌詞の工夫
Suno AIは、私たちが入力した歌詞の言葉一つひとつから
を感じ取ってメロディを作ってくれます。
そのため、
ことで、AIの表現力は驚くほど豊かになります。
私が今回の『閉じ込めた香り』を作る際に行った、3つの作詞の工夫をご紹介します。
💡 五感(音や匂い)のスパイスを足す
ため、AIがニュアンスを込めやすい
を付け足しました。
※楽曲が完成する前のドラフト段階の歌詞です。
静かな駅舎の 喫茶店
コーヒーミルで 豆を挽く
静かな駅舎の 古い喫茶店
コーヒーミルで カラカラ豆を挽く
を少し足すだけで、Suno AIの歌い方にグッと深みや哀愁が生まれます。
なども同様に、情景を音に乗せるための大切なスパイスです。
💡 文字数を揃えて「メロディの階段」を作る
は、
です。
ここでAIが綺麗なメロディを作りやすいように、文字数(音数)を整えます。
※楽曲が完成する前のドラフト段階の歌詞です。
コーヒーミルで カラカラ豆を挽き
ガラスの瓶に 閉じ込める
カラカラと 苦い痛みを挽き潰し
蓋をして ガラスの瓶に閉じ込める
ことで、AIが階段を上るような
を作りやすくなります。
さらに
と重みのある言葉を補うことで、
を強調しました。
💡 主人公の「独白」に変えて伏線を張る
ただ状況を説明するだけでなく、
のように
がそのまま歌になるよう、言葉の矢印を内側に向けました。
もう失いたくないから 何もいらない
のっぺらぼうの 氷の世界
【After】
誰も見たくない もう誰も失いたくない
のっぺらぼうの 氷の世界で
この平和な日常には
があること。
を際立たせるため、あえてAメロ・Bメロに
といった伏線を散りばめました。
☕️ 結び(エピローグ)〜一緒に開けた、最後の瓶〜
この記事の最後に、
その理由をお話しさせてください。
物語の終盤。
という現実を前に、つづらは
と気づき、ついに
をします。
震える手で「最後の瓶」を開けようとする彼女。
その時、隣にいた麦は何も言わず、ただそっと彼女の手を強く握り、静かに見守り続けていました。
そして、
が開いた瞬間——。
彼女の顔に、
色鮮やかな「表情」と「本当の感情」が一気に戻ってきました。
その一連のシーンを画面越しに見つめていた時、
に包まれ、涙が止まりませんでした。
あの時、彼女が見せてくれた
あの瞬間に感じた
を、どうにかして楽曲として残しておきたかった。
それが、今回Suno AIで作曲したいと思った一番の理由です。
この『閉じ込めた香り』という曲が、
や、
にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。