Atelier Koti 〜音楽とデザインの記録〜

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【ネタバレ注意】【anemoi×哲学】「イデア」と「エイドス」

Adobe Fireflyで作成

🟢 はじめに

⚠️ 【ネタバレ注意】
この記事は『anemoi』淡雪ルート中盤(物語の核心に迫る設定、淡雪の正体など)に関するネタバレを含んでいます。

まだプレイしていない方や、これから新鮮な気持ちで淡雪ルートをプレイしたい方は、ぜひ本編を進めた後に、またここへ遊びに来てください。

ここから先は『anemoi』淡雪ルートのネタバレを含みます(クリックして開く)

Key作品anemoi淡雪ルートで、淡雪が静かに語るこのセリフ。

淡雪

淡雪

「イデアの影響を、エイドスはいつか受けるの」

とても美しく、でも少し難解で哲学的な言葉ですよね。

淡雪の正体

や、

彼女の体が崩れてしまう理由

そして

「誰も選択しなかった宇宙」

に辿り着いた経緯。

この言葉には、彼女の切ない運命のすべてが詰まっています。

今回は、淡雪ルート

「イデア」と「エイドス」

という哲学の概念を紐解いてみたいと思います。


🤔「イデア」と「エイドス」とは?

まずは、この2つの言葉の基本的な意味を整理してみましょう。

「オブジェクト指向」のプログラミング

に例えると、次のようなイメージになります。

哲学用語 本来の意味 プログラミングの例え
イデア 目に見えない「本質」や「設計図」 クラス(設計図)
エイドス 現実世界に現れた「物質的な形」 インスタンス(実体)

🟦 イデア(Idea)

プラトンという哲学者が提唱しました。

RPGで例えると、キャラクターの「設定資料」「職業(クラス)」です。

「このキャラクターは神聖な精霊であり、みんなを平等に愛する存在である」

という、根本のソースコードのようなものです。

🟦 エイドス (Eidos)

アリストテレスという哲学者が提唱しました。

RPGで例えると、ゲーム画面に実際に表示される「3Dキャラクターモデル」「肉体」です。

プレイヤーが触れたり、ダメージを受けたりする現実のアバターのようなものです。


つまり、

「イデア(設計図)」があって初めて、それに合わせた「エイドス(現実の姿)」が作られる

という関係性です。

ゲームの中でプレイヤーが直接触れたり、ダメージを受けたりするのは

「エイドス(実体)」

の方ですが、

その根本のルールを決めているのは目に見えない

「イデア(設計図)」

です。


🥟淡雪の体に起きた「バグ」の正体

では、これを淡雪の状況に当てはめてみましょう。

淡雪の正体である

「アルミアス」

は、元々は高次の生命体でした。

彼女の最初のイデア(クラス・設計図)は、

「特定の誰かに執着しない、純粋で普遍的な愛」

という、いわば

【焦げ目のない水餃子】のような綺麗なソースコード

でした。

しかし、と出会い、

「彼を独占したい」「彼だけを特別に愛したい」という人間らしい感情(愛着)

を知ってしまいます。

これにより、

彼女の根本のソースコードであるイデア(設計図)

「麦への執着」という【焦げ目】

がついてしまったのです。

プログラミング的に言えば、

大元のクラス(設計図)に「麦への愛着」という想定外の変数が追加され、ソースコードが書き換わってしまった状態

です。

「イデアの影響を、エイドスはいつか受ける」

クラス(イデア)

「人間らしい愛情(愛着)」

を持つように書き換わってしまった以上、

そこから出力される**インスタンス(エイドス=肉体)

も、完璧に美しい姿を保てなくなります。

出力結果が変わることで、肉体がいびつに崩れてゆき、人間と同じように死に向かってしまう……。

それが、淡雪の体が変化してしまった理由だったのです。


🌌なぜ「死んだ宇宙」では元の美しい姿になれたのか?

淡雪の体を元に戻す方法を探すために、最終的に2人が辿り着いたのは

「誰も選択しなかった宇宙」

でした。

そこは、

「イデア」も「エイドス」もない、「人間」も「微生物」もいない【死んだ宇宙】

でした。

この「死んだ宇宙」で、なぜ淡雪元の美しい体を体現することができたのでしょうか?

それは、「死んだ宇宙」

「ネットから切り離されたスタンドアローンのローカル環境」

だったからです。

元の宇宙(本番環境)では、

「イデア」という絶対的なマスタデータ

が常に世界のルール監視し、同期しています。

「淡雪の設計図が書き換わった」

サーバーが認識すれば、肉体も強制的に崩壊のアップデートを受けてしまいます。

しかし、死んだ宇宙には

「イデア(マスタデータ)」

が存在しません。

監視システムも、強制的な同期アップデートも走らない

完全なオフライン空間

です。

だからこそ淡雪は、システムの強制力に引っ張られることなく、

バグが起きる前の美しい姿のバックアップデータ

を、自由に読み込んで表示させることができたのです。


🛣️ 永遠のセーブポイントを捨てて選んだ「淡雪の選択」

しかし、そのローカル環境は、

何の音も聞こえない、枯れることもなく、増えることもない、データが凍結されただけの世界

です。

RPGで例えるなら、

「敵が出ない安全なセーブポイントの部屋に、一生引きこもっている状態」

です。

HPが減ることも、傷つくこともありませんが、そこではストーリー(時間)が1ミリも進みません。

淡雪も、終わりを迎えない世界。

ずっと綺麗ですが、それは造花と変わりません。


淡雪

淡雪

「ずっと分かっていたのよ、いつかは消えちゃうって。でも、こわいの、死ぬのがこわいのよ」

このセリフには、永遠の命を持っていたはずの存在が、

「死の恐怖」

という人間と同じ感情を抱えてしまった悲哀が詰まっています。

高次の生命体であるアルミアス

は、本来

「孤独」も「死の恐怖」も知らない存在

でした。

それでも彼女は、

凍った宇宙で「永遠の造花」として生きること

を拒み、

永遠の命と美しさ

を手放し、

ボロボロになっていく現実(元の宇宙)

へ帰ることを選びました。

様々なものが生まれ、死んでいく宇宙

に戻ってきます。

淡雪にとっての愛は、

ただ「一緒にいる( `isTogether = true` )」

という静止したデータを保持することではありませんでした。

一緒に笑い、ご飯を食べ、季節の匂いを感じながら時を重ねていく「変化のプロセス」

を彼女は選びました。

限りある時間だからこそ、 命がいつか終わるからこそ、今日という何気ない1日が愛おしい

いつか美しさを失うからこそ、今、目の前で笑い合っている一瞬一瞬が宝石のように輝く。

いつか崩れてしまう

と分かっていても、

「変化する世界」で麦と一緒に過ごす日々

を選びたい。

淡雪は、

高次の生命体から人間に近づいた

ことで、

「限りある時間(有限)」の中にしか宿らない日常の尊さ

に気づいたのだと思います。

「宇宙の法則」という「絶対的なソースコード」に組み込まれた「悲しいバッドエンドの運命」

に対して、彼女自身が自分の意志で立ち向かい、

人間として生きること

を選び、

一人の女性として「人間の愛」を貫いた淡雪の決断。

「イデア」と「エイドス」

という言葉の意味を知ると、彼女の深い愛情がより一層胸に迫ってきます。

「俺の知ってる淡雪なら、美に対して、最善を尽くす」

というの言葉もありましたが、

肉体が崩れていく恐怖を抱えながらも愛を貫く淡雪の魂(イデア)

は、

永遠の美しさを保つ造花

なんかよりも、ずっと気高く、美しいと感じます。

次回も真澄町の風を感じながら、新たな発見を探していきたいと思います。


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