
🟢 はじめに
⚠️ 【ネタバレ注意】
この記事は『anemoi』愛乃ルートの重大なネタバレ(物語の核心に迫る設定など)を含んでいます。
まだクリアしていない方や、これからご自身で「奇跡の結末」を見届けたい方は、ぜひ愛乃ルートをクリアした後に、またここへ遊びに来てください。
『anemoi』愛乃ルート終盤。
主人公の麦がカレイドワールドへ向かう道中、突如として彼の前に立ち塞がった巨大な積乱雲。
麦は
と絶望します。
実はこれ、決して麦がビビリなわけではなく、現代の巨大なジャンボジェット機でさえ、
と言われています。
積乱雲に突っ込めば、
のが現実の科学(航空力学)です。
では、さっきまで晴れていた空に、なぜ突然「積乱雲」が生まれるのでしょうか?
積乱雲は、
ことで誕生します。
🔥💧 熱と水(地表の空気)
午前中、太陽の光で地面がガンガンに熱せられると、地面スレスレにある空気が温められます。
温かい空気は「気球」と同じで、上にフワフワと昇っていきます。
さらに、そこが海や川の近くだと、たっぷりの「水分(水蒸気)」を吸い込んでパワーアップします。
❄️ 氷(上空の寒気)
一方、空のずっと高いところには、天気予報でおなじみの「冷たい空気(寒気)」が待ち構えています。
🌪️ 属性の激突と「超・上昇気流」の発生
上からは「冷たい空気」
この温度のギャップ(温度差)が大きければ大きいほど、空のバランスは不安定になり、熱くて湿った空気が猛烈なスピードで空高く突き抜けていく
が発生します。
🌩️「積乱雲」の誕生
猛スピードで上空へ昇った水分は、氷(寒気)にぶつかって一気に冷やされ、巨大な氷の粒や水滴に変わります。
ただ空気が昇るだけなら、そよ風程度で終わるはずです。
しかし、
と言われています。
これが上へ上へとモクモク成長し、たった数十分〜1時間で、
になります。
🚀「ロケットダッシュ」を引き起こすエンジンの正体
この「ロケットダッシュ」を引き起こすエンジンの正体は、
にあります。
実は水蒸気(気体)は、
を持っています。
この「潜熱」が放出されると、雲の中では以下のような無限コンボが発生します。
その熱で、周りの空気が「再加熱」される。
再加熱された空気はさらに軽くなり、上昇スピードが上がる。
スピードが上がって高く昇ると、さらに急激に冷やされ、もっとたくさんの水蒸気が水滴になる。
すると、さらに巨大な熱(潜熱)が放出される……。
という終わらない連続コンボによって、大自然の熱エネルギーが暴走します。
上空の「寒気」が強ければ強いほど、この温度差のギャップによって水蒸気が一気に水滴に変わるため、放出される熱エネルギーも莫大になります。
その結果、フワフワ昇っていたはずの空気が、まるでロケットの「第2ブースター」に点火したかのように、時速100kmを超えるような猛烈なスピードで成層圏(空の限界点)まで突き抜けていきます。
この極限状態の乱気流(ウインドシア)にプロペラ機で突っ込むことは、
ようなものなのです。
⚡ なぜ積乱雲は「雷」が発生するのか?
積乱雲の中は、ただ風が強いだけではありません。
莫大な「電気エネルギー」を生み出す、空の上の巨大な発電所です。
雷が発生する秘密は、
に隠されています。
⚔️ 氷のミクロバトル:霰(あられ) vs 氷晶(ひょうしょう)
猛烈な上昇気流の中では、
と、
が激しく衝突を繰り返しています。
この時、衝突のエネルギーによって電荷が移動し、
します。
❄️ 氷晶(ひょうしょう): 上昇気流に乗っているだけで、キンキンに冷えています。
氷(水分)の中には、
と、
が含まれています。
そして、
という性質があります。
そのため、2つが衝突した瞬間、温かい霰(あられ)から冷たい氷晶へと「プラスの電気」が一瞬で引っ越しをします。
プラスを奪われてマイナスになった「霰(あられ)」は、雲の底へ。
こうして、
によって、
されます。
🛡️ 空気の防御力 vs 雷の攻撃力(絶縁破壊)
雲の上下でプラスとマイナスが分断されると、その間にはとてつもない緊張状態(電場強度)が生まれます。
例えるなら、限界までパツンパツンに引っ張られた極太のゴムバンドです。
本来、「空気」は
です。
空気を1メートル進むだけでも、
が必要になります。
しかし、
と言われています。
ピカチュウの「10万ボルト」が可愛く思えてしまうほど、大自然の雷のエネルギーは桁違いですよね⚡️
莫大な電圧が空気の防御力の限界点を上回った瞬間、
が発生します。
その強大なギャップを一気にゼロに戻そうとして、数キロメートル先の地面や雲に向けて「雷(放電)」が放たれるのです。
この
こそが、雷の正体です。
💡 静電気と雷の違い
ちなみに、
も、実は
だと言われています。
のは、電気の世界のもう一つの重要なパラメータである「電流(アンペア)」が関係しています。
電気のパワーを理解するには、「水鉄砲」をイメージすると分かりやすいかもしれません。
電圧が高いほど、水を遠くまで勢いよく飛ばす力が強い。
電流(アンペア:A)=「流れる水の量(太さ)」
電流が高いほど、一度に流れる水の量が多い。
🔋 静電気
電圧は高い( 約3,000〜10,000ボルト)が、電流(水の量)はごくわずか。
針の穴のような細いノズルから、ものすごい圧力で水が一瞬だけピュッ!と飛んできた状態。
ので「痛っ!」とはなりますが、
ため、致命傷にはなりません。
🌩️ 落雷
約1億〜10億ボルトの電圧に加え、約1,000〜数万アンペアの電流。
ダムが崩壊して、水がものすごい圧力で押し寄せてきた状態です。
※ちなみに、
ですが、
ため、感電すると非常に危険です。
🧥 なぜ体に「1万ボルト」も帯電するのか?
なぜ私たちの体は、日常生活の中でそんな高電圧を溜め込んでしまうのでしょうか?
これも、
のと同じメカニズムだと言われています。
私たちの着ている服(セーターやシャツなど)がこすれ合うと、「摩擦」によって、素材同士の間で
が発生します。
例えば、
のは、摩擦によって髪の毛から下敷きへマイナスの電気が奪われ、
からです。
これと同じことが、服を着て動いているだけで全身で起きています。
特に冬場は「空気が乾燥」しているため、溜まった電気が空気中へ逃げにくく、体の中に電気が溜まってしまう(帯電する)のです。
そして、そのパンパンに溜まった電気が、金属のドアノブなど(電気を通しやすいもの)に近づいた瞬間、
のが「静電気」の正体です。
私たちが服を着て動く摩擦で体に1万ボルトの電気が溜まり、ドアノブへの絶縁破壊で放電する静電気。
それと全く同じメカニズムが、大自然のスケールで起きているのが「積乱雲と雷」です。
落雷も静電気も、規模が違うだけで
というメカニズムは全く同じです。
✈️ 奇跡の道しるべ
そして
『anemoi』の主人公の麦と、愛乃の父の湊さんが巻き込まれた積乱雲の嵐は、これほどまでに絶望的で、気象学的に見ても「絶対に生還不可能」な空の最深部でした。
だからこそ、そんな暗黒の空の中で、
は、理屈を超えた「奇跡の光」そのものだったと言えるのではないでしょうか。
次回も真澄町の風を感じながら、新たな発見を探していきたいと思います。