
🟢 はじめに
⚠️ 【ネタバレ注意】
この記事は『AIR』の重大なネタバレ(物語の核心に迫る設定など)を含んでいます。
まだクリアしていない方や、これからご自身で「奇跡の結末」を見届けたい方は、ぜひ原作をクリアした後(またはアニメ視聴後)に、またここへ遊びに来てください。
前回はKey作品『AIR』のヒロイン・神尾観鈴視点で、未来への希望を歌ったハッピーエンドの曲「1000年の祈り」を制作しました。
前回の記事はこちら👇
今回は、その対となる主人公・国崎往人(くにさき ゆきと)視点での楽曲制作にチャレンジしてみました。
観鈴の曲が、「聖なる祈り(ヒールやバフ魔法)」だとしたら、 今回の往人の曲は、ボロボロになりながらも大剣を振り下ろす戦士の「渾身の一撃(クリティカルヒット)」。
柳也と裏葉から受け継いだ使命、観鈴を救うための自己犠牲、そして"そら"(カラス)となって寄り添い続ける愛……。
そんな彼の泥臭くもまっすぐな情熱を、重厚なロックに乗せて表現した楽曲の制作裏話を綴りたいと思います。
AI作曲に興味がある方の参考になれば幸いです🙌
🗺️ まずは「ラスボス」を決める
作詞するとき、どこから手をつければいいか迷いますよね😥
初心者の方におすすめなのは、「サビ(Chorus)」から作ることです。
RPGゲームで例えるなら、「最初にラスボスの姿(一番伝えたいメッセージ)をハッキリさせる」作業です。
ラスボス(サビ)が決まれば、そこに向かうまでのAメロやBメロといった「道中のシナリオ」が格段に作りやすくなると思います。
🟨 往人のサビに込めた「最大のジレンマ」
観鈴の笑顔を守りたいのに、近づけば近づくほど彼女にかけられた「1000年の呪い」が進行して、彼女を壊してしまう……。
この、往人が直面する残酷な矛盾(ジレンマ)と無力感を、サビのメインテーマに据えてみました。
君の笑顔を 守りたかった
なのに近づけば 君が壊れる
俺がそばに いることさえも
許されないのか? この狂った宿命(さだめ)に
💡 工夫したポイント
「守りたかった」のに「壊れる」という強い言葉を対比させることで、リスナーの心を引きつける工夫をしてみました。
また、観鈴視点ではあえて主語をぼかしましたが、往人視点では「俺が君を守る」というベクトルを明確にすることで、不器用で真っ直ぐな男らしさを際立たせています。
🛣️ シナリオ構築。孤独な旅から決意のステージへ
サビ(ラスボス)が決まったので、物語の始まりから順番に歌詞を紡いでいきます。
🎶 Aメロ:チュートリアル期間(孤独な旅路)
RPGで言えば、「砂埃の舞う最初の村周辺を、目的も曖昧なまま一人で歩いているチュートリアル期間」です。
終わらない旅 砂埃(すなぼこり)の道
すり減った靴で ただ歩き続ける
この「孤独で退屈な旅」をしっかり描くことで、サビで観鈴に出会った瞬間の「君の笑顔」がどれほど往人の救いになったかというコントラスト(対比)が生まれます。
💡 Suno AIに指示を出すコツ
男性ボーカルをロックにする場合、Aメロは「少し低めの声で、ボソボソと語るように(気怠げに)」歌い始めるのがカッコいいと個人的に思っています。
そのため、あえて「砂埃」「すり減った靴」などの、少しざらついた物理的な単語を配置してみました。
🎶 Bメロ:イベント発生!宿命との遭遇
往人の母の言葉を思い出し、観鈴と出会うことで物語が動き出します。
Suno AIがサビに向かって盛り上がれるよう、視界が開けていくような構成にします。
「空のどこかで あの子が泣いている」
遠い記憶に響く 母の言葉
見上げた青空に 夏の風が吹く
宿命(さだめ)の糸が いま交わろうとしていた
Aメロの泥臭い世界から、AIR特有の神秘的な世界へと一気に視界が開けていく「現実と神秘のグラデーション」を意識しました。
往人が操る「人形(からくり)」と「宿命の糸」を掛け合わせると、詩的で美しくなります。
🦅 中盤のクライマックス。逃げない覚悟と自己犠牲 🦅
🎶 2番:ヒーローへのクラスチェンジ
物語は中盤、過酷な呪いの正体を知る展開へ。
往人はここで葛藤しますが、逃げずに立ち向かうことを決意します。
ここで往人は、ただの「通りすがりの旅人」から、1000年前の柳也や裏葉の想いまでも背負う「真の主人公(ヒーロー)」へと覚醒(クラスチェンジ)します。
遠い昔から 受け継がれた使命
あの日の二人が 託した祈り
どんな代償(いたみ)を 払うことになっても
俺がこの手で すべて終わらせる
「あの日の二人(柳也と裏葉)」という裏設定を匂わせつつ、この後に続く「カラスになる」という展開に向けた伏線(究極の自己犠牲の覚悟)を歌っています。
🎶 Cメロ(Bridge):究極魔法の発動
ついに持てるすべての法術(命)を使い果たし、カラスの「そら」へと姿を変えていく、最も涙を誘うシーンです😢
RPGで言えば「パラディン(聖騎士)が自身の存在を代償にして発動する、最初で最後の究極魔法」です。
薄れゆく意識 人の姿を手放して
最後に残ったのは 君を想う心だけ
小さな黒い羽に ひとつの願いを乗せて
決して君を もう一人にはしない
「カラス」という原作ファンなら誰しもが知っている言葉を直接使わずに、意識が薄れる中で残った「君を想う心」と「小さな黒い羽」を描写することで、詩的な美しさを目指しました。
男性ボーカルが感情を限界まで乗せて(シャウトして)歌い上げる、この曲最大のハイライトです。
🎨 Suno AIへの指示(プロンプト)とサムネイル作成
💻 プロンプト指示
歌詞が完成したら、Suno AIにどんな風に歌ってほしいか指示を出します。
往人の「不器用さ」や「1000年の呪縛の重さ」を表現するために、実際に試してみたプロンプトがこちらです。
slightly raspy voice(少しハスキーな声)で泥臭さを、heavy electric guitar(重厚なエレキギター)で呪いの重さを表現したところが、今回の楽曲制作でこだわったポイントです🎸
🟨 サムネイルは「対比」を意識する
Adobe Fireflyで制作するサムネイルも、観鈴視点の「光・白」に対し、往人視点は「決意・黒い羽」というダークヒーロー的な属性で対比させてみました。
特にCメロの自己犠牲のシーンを描いた構図が個人的にお気に入りです。
明るい夏の空の下に立つ若い男性の旅人。彼の体はゆっくりと魔法のような光の粒子に溶け、風に舞う黒い羽へと変わっていく……。究極の自己犠牲……。
🟦 Adobe Firefly:サムネイル画像
同じ歌詞で曲調を変えたヘヴィメタルVer.「Rebellion of the Sky」では、往人の化身であるカラスが、理不尽な「1000年の呪縛」を鋭い爪と翼で引き裂くようなイメージを1枚のイラストで表現してみました。
黒髪で使い古したベージュのジャケットを着た若い男性の旅人の後ろ姿からのシネマティックなショット。彼は広大で残酷な青空を見上げている。強烈なヘヴィメタルのアルバムアート。光り輝く青い目を持つ黒いカラスが、嵐の空を縛り付ける光り輝く光の鎖を、爪を伸ばして引き裂いている。









おわりに:エピローグ 🕊️
カラスになっても青空から見守り続けるという、往人の不器用で深すぎる無償の愛。
曲の最後(アウトロ)は、観鈴視点の曲と全く同じ歌詞を、往人の視点(僕ら)として歌い直すことで、2つの曲が「表と裏」としてリンクするように工夫してみました。
ずっとそばにいる 青空から見守っている
彼らには 過酷な日々を
僕らには 始まりを…
▼今回制作した楽曲はこちら👇
※本楽曲は、Key作品『AIR』の登場人物・国崎往人の物語から深い感動を受け、一人のファンとして心からの感謝と敬意を込めて制作したインスパイア楽曲です。公式企業・団体様とは一切関係ありません。
この記事が、AI作曲に興味がある方の参考になれば幸いです🙌
Suno AIを活用した音楽制作のノウハウをまとめた初心者向けシリーズです。
【こんな記事をまとめています】
🎹 基礎的なプロンプトの書き方とコツ
🎹 「Extend機能」などを使った自然な楽曲展開の作り方
🎹 インスパイア楽曲の制作裏側(試行錯誤の記録)
音楽の専門知識がなくても大丈夫です。 プログラムと対話するようにAIへ指示を出し、あなただけのメロディを奏でるヒントをお届けします。